意を決してようやく「ミッドナイトスワン」
私は演技者としての「草彅剛」が大好きだ。頭で考えるより心が惹きつけられてしまう。
だから、「ミッドナイトスワン」という映画が公開されると聞いて、すごくすごく嬉しかったし、心から期待した。
でも、私は
あらすじを見て、かなり不安な気持ちになった。
それは私自身のこと。
最近、いろいろと気持ちが弱っている私。
この映画を観たあとの私のメンタル大丈夫なのか。映画のポスターを見てもまず明るい雰囲気は感じられない。だいたいミッドナイトのスワンだぞ。
ようやく、楽しみな映画が公開されたのに、モジモジしてるもう一人の自分がいてなかなか映画館に踏み出せなかった。
でも、ちゃっかり気になって最寄りの映画館の座席の状況を毎日、一日に何度もチェックしていた。
何日かしてある現象に気付いた。
公開から日が経てば経つほど、より観客席が埋まっていくという逆転現象。
「こんな現象見たことないぞ。観ないとダメなやつか。神の啓示か。」と思った。
ようやく、自分でも「観ないで後悔するより、観て後悔した方が良い!」、と覚悟が出来て、翌日自転車に飛び乗った。
珠玉だよ
最後まで一気に過ぎ去った時間だった。間延びする場面なんて一切なかった。
あっという間の時間。私にとって良い映画の条件のひとつ。
私は二度泣いた。
ひとつは、凪沙の勤務先の店で、一果がステージで踊ったのを観た凪沙の表情。
言葉に出来ない。なんとも言えない凪沙の表情。
母性に目覚めた瞬間なのだろうか。
そう思ったら、「こんなところで泣くなよ。」と目に命令したのに反して、勝手に涙が出てきた。
「表情ひとつで泣かせるのやめてくれよ。」と思った。この先耐えられるのか。
こんな経験は初めてだ。
上にも書いたけど、映画のだいたいのストーリーは知っていた。
どんな結末かも何となく知っていた。
悲しい映画を観たら、しばらく辛さを引きずりそうで本当に怖かった。
でも、
まとまらない感想でごめんなさい。
フラッシュバッグしてるみたいに色んなシーンが勝手に浮かんでくる。
エンドロールが流れて、ダーッとまた涙が出た。さらに鼻水も出た。うわー!!
一晩明けた今日。
私の身体の半分はまだ昨日観た映画の中にいるみたいだ。漂っている感じ。
でも、なんだろう。同時にこの優しい気持ちは。
観る前は、やたらと悲しんだり、落ち込む自分を想像していたのに意外に晴れやかだ。
たぶん主人公の凪沙は幸せだったからかも知れないと思う。いやいや、絶対に幸せであって欲しい。
もちろん、ハッピーエンドとは言い切れないけど、見方を変えたらそんな気もしてくる。
終わり方が不幸に見えた気がしたけど、本当は不幸じゃないのかも知れない。そうであって欲しい。お願い。
人生って正面からじゃなく横に見たり、斜めに見たり。
やっぱり良い映画って、良ければ良いほど心に残る。当たり前か。
それで、良い映画が差別なくちゃんと評価され、たくさんの人に観てもらえるボーダーレスな世界になってくれたら最高だなと思ってる。